【活動報告】 つくばちびっ子博士2025「医療のエコ活動を知ろう!応援しよう!」

つくば市の全国の小中学生を対象とした科学体験プログラム「つくばちびっ子博士」にアステラス製薬と協力して出展をしたので報告をします。

◼︎ 実施概要
日時: 2025年8月9日(土) 10:00〜16:00
場所: つくばセンター広場 co-en イベントスペース、ミーティングルーム
タイトル:医療のエコ活動を知ろう!応援しよう!
内容: おくすりラムネ作り、博士体験、レモネードスタンド、おくすり博士と話してみよう、小児がんのお友達のことを知ろう
当日参加人数: 約250
主催:アステラス製薬   
協力:ヒスターズナウ、日本科学振興協会(JAAS)

つくばちびっ子博士

毎年夏休みにつくば市とつくば市教育委員会が小学生・中学生対象としてさまざまな研究機関・企業・文化施設を見学し、楽しく学ぶイベントです。スマホなどの端末を活用しながら、つくばちびっ子博士2025専用サイトでポイントを集め、最優秀つくばちびっ子博士を目指すものです。

医療のエコ活動を知ろう!応援しよう!

医療のエコ活動とは、限りある医療資源を大切にし、”国民一人ひとりが医療に優しい活動”を行うことです。医療サービス(医療・治療薬)を治療法がなく困っている患者さんへ将来にわたって届けるために国民一人一人が医療資源(医療に関わる人、医療施設や医薬品、財源)を大切に利用するよう、アステラス製薬は医療のエコ活動に対するアドボカシー活動を通じて革新的な新薬を患者さんへ届ける環境づくりに貢献することを目指しています。今回はつくばの子どもたちにドラッグ・ロスなどの社会課題を含め、理解を深めようと企画が立ち上がりました。

子どもにいきなり「医療のエコ活動」といっても難しいので、まずくすりに対して興味を持ってもらえるよう、おくすりに見立てたラムネ作りをしました。会場に来てくれた子どもたちはラムネ作りに取り組んだ後、サイエンスショー体験と最先端の医療を学ぶクイズ、そして感想を聞くという流れで楽しく学びました。

おくすり博士と話してみよう

医薬品の開発は一つの薬が世に出るまでに非常に長い期間を要します。その間、多くの研究者たちがチームを組んで安心安全な医薬品を患者さんに届けられるように研究をします。その様々なプロセスの一端を子どもたちに興味を持ってもらうことがこのセッションの大きな目的です。おくすり博士はアステラス製薬つくば研究センターで働く4名の研究者の方に参加していただきました。おくすり博士の専門は遺伝子、細胞、医薬品の安全、AIと幅広く4者4様の仕事内容と仕事への思いを伝えてもらいました。おくすり愛に溢れる内容に子どもたちも興味を持ってお話を聞いていました。おくすり博士たちは楽しそうに子どもたちと対話をしていました。

小児がんのお友達のことを知ろう

『自分の身近な友達から「自分はがん」ということを聞いたらあなたはどうしますか?』

そんな問いを参加してくれた子どもたちに投げかけてみました。その後、小児がんの患者やその家族を支援しているヒスターズナウ代表の照井美穂さん、幸大(こうだい)くんの「小児がんの家族の話」を聞きました。

小児がんは歳から15歳までにかかるがんで、治療をすれば1人中7〜8人は治る病気と言われています。しかし当然ながら治療中は学校に行けないし、完治してもがん治療の影響で髪が抜けてしまったり、疲れやすかったり、トイレに何度も行く子がいたりなどと苦労がとても多いです。もし子どもでもがんを知っていたらそういう友達がクラスにいても病気の子に対する配慮をしてあげることができますし、治療中に当事者の子がなかなか学校に行けなくても友達の存在は心の励みになります。また、小児がんは当事者の子どもだけでなく、側にいるご両親、そしてその兄弟、みんな普段とは違う生活を強いられます。家族にも目を向け、その支援の輪を広げていかなくてはなりません。

がんの治療を知り、彼らに思いを馳せることから医療や研究開発にも興味を持つ子がいてくればと思います。

そして彼らは常に小児がんの治療の研究が進んで不治の病が無くなってほしいという強い希望を持っています。さらにただ待っているだけではなく、その思いを社会に発信する活動をしています。

みなさんはその希望を応援するレモネードスタンドチャリティをご存じでしょうか?レモネードを売って、その売り上げをがんの研究開発や患者支援に寄付をするものです。これはアメリカで小児がんの4歳のアレックスちゃんが始めた募金活動です。(Alex’s Lemonade Stand Foundation) 彼女はすでに亡くなっていますが、その活動は全米、世界へと広がり、日本全国でもこの活動は広がっています。

今回のちびっ子博士でもレモネードスタンドの出展がありました。こういった活動には子どもでも加わることができ、社会貢献を間近に見ることから繋がりや支援の輪の具体例として見てもらう事ができたのではないかと思います。

医療のエコ活動と科学振興

今回のつくばちびっ子博士への出展では、子どもたちに医療のエコ活動の意義をわかりやすく伝えるとともに、医療や科学の世界への興味を育むことを目的としました。おくすりラムネ作りや博士との対話、小児がんの友達や家族の支援活動を知ることを通して、限りある医療資源を大切にし、未来の医療を守ることの重要性を感じてもらえたと思います。また、こうした体験は、医療の持続可能性を支える科学や研究の大切さを実感するきっかけにもなります。子どもたちがこの日の学びを心に留め、将来、科学や医療に関わる道を選ぶかもしれません。印象的だったのは、むしろ子どもたちよりも大人の反応です。子どもの問いかけは本質を突き、大人たちにとっても、自らの仕事や原点を改めて見つめ直す機会となったように感じました。今回、JAAS、アステラス製薬、ヒスターズナウとで協働した研究開発と社会を繋ぐ架け橋は今後も共に紡いでいきたいと考えています。

文責:吉田智美