東京都立雪谷高校での科学教室第3回

こんにちは。第3期理事の宮原です。
雪谷高校での科学教室を7月5日に実施しましたので、ご報告いたします。

企画概要

・趣旨:体験を通して、科学への興味関心を育み、理系科目の面白さに気づく時間を提供する
・開催頻度:約月1回
・実施場所:校内の理科室や近隣の施設
・講師:JAAS会員や協力いただける大学の先生/各回異なる講師にて実施
・内容:講師の専門かそれに近いところの内容で、かつ高校生が手を動かして楽しめる内容

第3回

実施日時:2025年7月5日(土)14:00~16:00

<タイトル>
血液の力とは?血液に流れる細胞を観察しよう。

<講師>
北原秀治 
東京女子医科大学 特任准教授(先端生命医科学、先端工学外科学) 

●略歴
日本歯科大学卒業、東京女子医科大学大学院医学研究科修了、早稲田大学大学院政治経済学術院経済学研究科中途退学。ハーバード大学/マサチューセッツ総合病院博士研究員を経て現職。博士(医学)。専門は基礎医学(解剖学、腫瘍病理学、公衆衛生学)、医療経済学、医療・介護のデジタル化。日本科学振興協会(JAAS)代表理事。海外日本人研究者ネットワーク理事。自治体医療政策顧問。そのほか多数の学会、非営利法人、企業の委員、アドバイザー等を務める。共著書に「あなたが変える医療 50 のアイコン」(さんが出版)

担当講師所感

「自分の血液をのぞいてみよう!」―人体解剖学の視点から科学の面白さを体験

今回、人体解剖学を専門とする立場から講師を務めさせていただきました。授業では、「自分の血液を顕微鏡で観察してみよう」という実験を実施。白血球やリンパ球といった普段は目にすることのない自分自身の細胞を発見し、参加者の皆さんからは驚きと歓声があがりました。最近のアニメの影響もあるのか、血液の中の細胞に対する関心はとても高く、「自分の身体の中にこんな世界があるなんて!」と目を輝かせる様子が印象的でした。

このような科学教室は、自分の身体を通して科学に興味を持つ絶好の機会であり、「日本の科学を元気にする」活動の一つです。これからも、より多くの人に科学の楽しさを届けられるよう、このような取り組みが広がっていくことを願っています。

北原秀治


雪谷高校で行う科学教室も3回目となると、少し雰囲気に慣れてきました。駅から高校へ向かう道のりも、GoogleMapに頼らずとも迷いません。

同じように、3回連続で参加してくれている生徒さんは、最初の緊張はほぐれ、どのような時間であるかを理解して楽しんでくれていました。

毎回、どのように感じるか、何を考えるかは生徒任せです。

スキルや知識を身につけてほしいというゴールがある場合、重要な単語を2回繰り返したり、最後におさらいをしたり、生徒の足並みがそろうようにすると思いますが、この科学教室では、一緒に楽しむことを大切にしています。科学を題材に、遊んでいるような雰囲気です。

今回、自分の血液を少し採って観察する時間がありましたが、「見てください!結構綺麗に見えているかもしれません!」と声をかけてくれる生徒が何人かいました。できた喜び、目で見えた喜び、もっときれいに見えるものを探したいという欲求、などが垣間見えます。単純な感情ですが、「科学が面白い」と思うには十分な動機ではないでしょうか。

中には、自分の血液を採取するのは怖いと感じる生徒もいましたが、その感情もそのままでよいと思います。今回は、抵抗なくできる仲間の顕微鏡を一緒にのぞかせてもらうことにしたのですが、このことが、他者へのリスペクトに繋がればよいなと思っています。

科学の世界には「科学者」と呼ばれる専門家がいますし、他の業界でも各人が能力を活かして協力し合って社会を作っています。その時に大切なのが他者へのリスペクトではないでしょうか。JAASが掲げる「日本の科学を、もっと元気に。」を実現するためには、普段科学に携わることのない方の応援も欠かせません。科学教室に集まった生徒にも、将来科学の道へ進む人もいれば、そうでない人もいることでしょう。そうでない人も、ほんのりで良いので科学ファンでいてくれたら、日本の科学の未来はたくさんの人に支えられるものになるのではないかと思います。僅かかもしれませんが、この科学教室が、日本の科学の未来をほんの少し元気にしていることを願っています。

最後になりましたが、染色液をはじめ物品をご用意くださり、雪谷高校の先生方やPTAの皆様に感謝いたします。

宮原聖子

文責者:宮原聖子