【参加レポート】サイエンスアゴラin大阪「Playable Island―中之島で実装する創造的なアイディアの提案」に参加して

11月24日に開催されたサイエンスアゴラ in 大阪「クリエイティブアイランド中之島、JSTサイエンスアゴラ、中之島パビリオンフェスティバル2025共同企画 ラウンドテーブル Playable Island―中之島で実装する創造的なアイディアの提案」に参加してきました。

本イベントは、2025年の大阪・関西万博と同時期に開催される、“キタ”や“ミナミ”とは異なる、歴史文化と水辺環境を有する“シマ”の魅力と可能性を最大限に活かした「中之島パビリオンフェスティバル2025」での公共公開空地や舟運・水辺空間などを活用する企画をディスカッションするものです。“Play(遊び)”を通して“Island (都市の島) ”における共有体験や価値創造につながるアプローチを構想する機会の創出を目的とし、未来を志向する若い世代に呼びかけられました。


<イベント概要>
日時 2024年11月24日(日)13:00~17:00
会場 大阪中之島美術館1階ホール(大阪市北区中之島4-3-1)

プログラム

第一部(参加者限定)
13:00~15:00

・概要説明とテーマ発表等
・グループワークショップ 

第二部(一般公開)
15:00~16:00 

・主催者挨拶
西尾章治郎(大阪大学総長/クリエイティブアイランド中之島実行委員会 委員長/中之島パビリオンフェスティバル2025実行委員会 委員長)
・各グループによる発表

16:00~17:00

・講評とクロストーク
菅谷富夫(大阪中之島美術館 館長)
堀越礼子(朝日新聞社 取締役 西日本統括/大阪本社代表兼文化事業エグゼクティブプロデューサー)

総合司会:木ノ下智恵子(大阪大学21世紀懐徳堂 准教授)

主催:大阪大学21世紀懐徳堂、
   クリエイティブアイランド中之実行委員会、
   独立行政法人日本芸術文化振興会、
   文化庁
共催:中之島パビリオンフェスティバル2025、
   科学技術振興機構、
   大阪中之島美術館


今回、地域のステークホルダーの方に混じってワークショップでディスカッションをさせていただく機会を得ました。 JAASからは4名が参加し、近い将来にむけて、もしくは中長期的な未来に向けた街づくりについて話し合い、たくさんのおもしろいアイディアとともに、産官学民が連携して、集まるワークショップを大いに楽しませてもらいました。

中之島とはどんなところなのか、事前に送られてきた資料に目をとおしてみると(中之島まちみらいビジョン2023)、中之島は「歴史だけでなく、現在でも風格ある歴史的建造物、文化施設などが集積しており、水辺の魅力を感じることができる場所として、水都大阪のシンボルアイランドとして位置づけられている」とありました。川の中州に位置していることから水辺を生かした都市開発が行われ、また大阪市景観計画においても建築物や屋外広告物に重点的な景観誘導が行われています。以前はオフィスが多く昼間人口の多いエリアでしたが、最近ではタワーマンションが開発されたこともあり、夜間人口も増加している街です。

せっかくなので中之島の街を歩いてみました。地図をみながら淀屋橋から中之島美術館まで川沿いを中心に歩いてみると、歴史ある建物を生かした再開発や、アートモニュメントなどあり、水辺の美しさを堪能しながら感性を頼りに散歩した時間はとても豊かなものでした。
水都大阪コンソーシアムホームページ

著者撮影(それぞれ上から右回りで)
(左写真)「三井住友銀行大阪本店ビル」「中之島緑道」「大同生命大阪本社ビル」 
(右写真)「大阪中ノ島中之島美術館」「モニュメント」「大阪市立科学館」

ワークショップは学生や中之島や周辺エリアに在住・在勤で、テーマに関心やアイディアをもつ社会人、クリエーター・アーティスト・まちづくりや防災活動研究者・舟運事業者・社会教育者などの実践者や研究者が集まっていました。10グループに分かれ、中之島の印象や未来などを思いのままに話をしました。各グループの様子はグラフィックレコーディングされ、参加者の意見がどんどん可視化されていきます。

著者撮影
グラフィックレコーディング

著者撮影
ワークショップ会場

ワークショップ終了後の後半は一般の参加者も加わり、グループワークの発表や登壇者のクロストークがありました。各グループの発表は共通している部分もありつつ、ドローンやVR・ARなどの最新のテクノロジーを使った企画や、水路を生かした移動方法などそれぞれ特徴のあるものでした。クロストークでの「昔も似たようなことを考えた」「人が来るだけでいいのだろうか」という問いは、非常に重要かつ今後に対してカギとなるものでした。

著者撮影
第二部開始前の会場の様子

帰宅の途につきながら最後のコメントを改めて振り返ってみました。なぜ「昔似たようなことを考えた」のに実現できなかったのか。これは実験でもよくあることではないでしょうか?アイディアを社会実装させていくには、過去をしっかりと見つめ直し、多くのステークホルダーの協議と合意形成が幾重にも必要です。今回のワークショップは中之島のことだけではなく、科学技術とわれわれの未来の創造へと通じているものだと改めて気付かされました。

著者撮影
大阪大学 総長 西尾 章治郎氏

著者撮影
大阪中之島美術館 館長 菅谷 富夫氏

文責:吉田 智美

この記事を書いた人

日本科学振興協会(JAAS) 広報

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