6月に実施したサイエンストリガープログラムにつきまして、ご報告いたします。
企画概要
・趣 旨:体験を通して、科学への興味関心を育み、理系科目の面白さに気づく時間を提供する
・開催頻度:約月1回
・実施場所:校内の理科室や近隣の施設
・講 師:JAAS会員や協力いただける大学の先生/各回異なる講師にて実施
・内 容:講師の専門家それに近いところの内容で、かつ高校生が手を動かして楽しめる内容
東京都立雪谷高校第2回
<実施日時>
2026年6月13日(土)13:30~15:30
<タイトル>
実験しない生物学? コンピュータを使った「計算生物学」入門Ⅱ
<講師>
冨樫 祐一 先生
立命館大学 生命科学部 生命情報学科 教授
理化学研究所 生命機能科学研究センター 客員主管研究員
◇略歴
1975年生まれ。
東京大学教養学部基礎科学科第一、同・大学院総合文化研究科広域科学専攻修了、博士(学術)。
マックス・プランク協会 フリッツ・ハーバー研究所(ドイツ)、大阪大学、神戸大学、広島大学を経て、2021年より立命館大学生命科学部生命情報学科教授。
高校時代は新しいコンピュータの開発を目指していて、理科では化学と地学を選択したが、なぜか現在の専門である生物物理学・理論生物学に行き着いた。
数学・物理を道具として、生体分子から生態系・社会まで手を広げ(すぎ)て、研究に取り組んでいる。

担当講師所感
前年度とは違う内容を御希望とのことで、どういった題材を取り上げようか迷いましたが、ストレートに「研究者がやっていること」の一端を体験してもらうのも良いかも知れないと考えて企画しました。
理論・計算科学系の研究では、起こっているものごとの全てを考えることはできないため、まず初めに、その一部の側面だけを切り取って数式などで表す「モデル化」が必要になります。シミュレーションの場合、これは現実に似せたモデル=箱庭をコンピュータの中に作る作業ととらえることもできます。モデルに不備があったり目的にあっていなかったりすると、その後の研究がすべて崩壊することもあるため、いちばん大事なステップともいえます。
今回は、過去の研究で扱われた現象を紹介し、どのような数理モデルを作ればよいかを推理してもらった後で、実際に研究者が使ったモデル(つまりひとつの解答例)を紹介しました。自分自身でなにかに注目して新しい数理モデルを作るのは、数学や物理などの関連知識も要求され、大学でも卒業研究や大学院の段階になってから研究室で取り組んでいます(それができれば自分で研究を始められます)。そんな大学3~4年生向けのような題材でしたが、グループでいろいろな可能性を挙げて議論したり、本質に迫る鋭い推理があったりと、日頃の「探究」で鍛えられているかなと思うところもありました。
今後もぜひ、ものごとを眺めるだけでなく、その裏側を考えることを楽しんでもらえればと願っています。
冨樫 祐一
2026年6月13日(土)、雪谷高校生物室にて、サイエンストリガープログラム2026の第2回を開催しました。テーマは、冨樫祐一さんによる 「計算生物学」 の入門講座です。
生物学とはいっても実験や観察ではなく、コンピュータの中で『生物』やその『部品』を動かすコンピューターシミュレーションの世界を紹介していただきました。
研究の出発点となる 「数理モデル」 を作るとき、何に着目するか、どう考えるか、を研究者になったつもりで、グループで相談するワークを実施。実際に起こる現象に近づけるためには、数学・情報・物理・生物が関わる内容で知識が必要となりますが、思考の出発点においては、中学レベルの知識で気付くことから始めることもでき、生徒の「え?この発想もいいの?」と思わず嬉しそうにする場面が見られました。
最近のゲームで見られる、リアルな世界(スポーツカーが走った後の土埃など)の再現にもつながる話とあって、生徒たちも目を丸くして聞いていました。
宮原 聖子

※写真は、すべて高校、被撮影者の許可をいただいた上で掲載しております。
文責者:宮原 聖子
