9月に実施したサイエンストリガープログラムにつきまして、ご報告いたします。
企画概要
・趣 旨:体験を通して、科学への興味関心を育み、理系科目の面白さに気づく時間を提供する
・開催頻度:約月1回
・実施場所:校内の理科室や近隣の施設
・講 師:JAAS会員や協力いただける大学の先生/各回異なる講師にて実施
・内 容:講師の専門かそれに近いところの内容で、かつ高校生が手を動かして楽しめる内容
東京都立雪谷高校第4回
<実施日時>
2026年9月12日(土)14:45~17:30
<タイトル>
サイエンスアゴラ2026で科学の世界を満喫しよう
<講師>
ラブ教授
国立科学博物館認定サイエンスコミュニケーター/吉本興業
◇略歴
国立科学博物館認定サイエンスコミュニケーター
日本サイエンスコミュニケーション協会認定サイエンスコミュニケーター
科学漫談をする理系の大学の先生芸人@吉本興業。
Podcastで科学部門だと日本で上位に聞かれている番組などを主に運営している。
新書『雑談でわかる相対性理論』、『だからおもしろい量子力学』発売。
東京工科大学客員准教授、早稲田大学非常勤講師、日本科学振興協会 初代理事、現社会連携WGリーダー、日本サイエンスコミュニケーション協会理事。
LEDTOKYO株式会社、オプトロニクス社などでサイエンスコミュニケーション業務に従事。
科学技術振興機構サイエンスアゴラ賞受賞、キングオブマッドサイエンティスト受賞他

担当講師所感
昨年、私が国立研究開発法人のブースを雪谷高校の皆さんに何げなく、いや無理やり?紹介したことをきっかけに、今年は高校生自身がパネリストとしてイベントに参加するなど、個人的につなげた喜びを勝手に感じております。
どうも、黒ラブ教授です(笑)どんな入りなんでしょうね(笑)
今回は、以前、雪谷高校で授業をした際に実施した「理系・文系に対するイメージ調査」の分析結果に加え、早稲田大学の文系学部で新たに行った調査結果も、高校生の皆さんに見てもらいました。
進路を選ぶとき、「理系は○○」「文系は○○」といったイメージだけで判断してしまうと、本当は自分に合っている選択肢を逃してしまうかもしれません。
そこで、一般的なイメージと実際との違いについて紹介しながら、「高校生が自分に合った文理選択をするには、どうすればよいのか」、さらに「政府が理系人材を増やす政策を進めるなかで、高校生が理系を選びやすくするには、どのような取り組みが必要なのか」を一緒に考えてもらいました。
もはや・・黒ラブ教授による研究発表であると同時に、高校生の皆さんの率直な意見を聞くことのできる、とても貴重なイベントとなりました!
今回の経験が、高校生の皆さんにとって、これからの理系・文系選択を考えるヒントになればうれしいです。
そして、ここで得られた声や気づきを、今後の教育や国の政策にも役立てていきたいと思っています。
黒ラブ教授
今回は、JAASの年次大会に高校生をお招きしました。毎年開催されるサイエンスアゴラの中で年次大会を実施するため、JAASと自分たちという世界だけでなく、多くの来場者と出展者が交流する場を共有したかったためです。
出展数は数時間で回り切れる量ではないのですが、例えば同じ高校生が出しているところもあり、科学に関心をもつ仲間同士で化学反応があるといいなと思っています。
感想はまだ聞けていませんが、次回あったときには面白かったブースについて尋ねてみたいと思います。
宮原 聖子

東京都立小松川高校第2回
<実施日時>
2026年9月19日(土)13:30~15:30
<タイトル>
紙粘土で学ぶトポロジー
〜 曲面の分類からポアンカレ予想まで
<講師>
佐野 岳人 先生
理化学研究所 数理創造研究センター 数理展開部門 数学応用研究チーム 研究員
◇ 略歴
2007 年に東京大学理学部数学科卒業。
卒業後は国内の IT 企業でソフトウェア開発者として勤務。
2015 年に数学を学び直すことを決意し、2016 年より当研究科修士課程に進学。
2019 年に修士号、2022 年に博士号(数理科学)を取得。
2022 年 4 月より理化学研究所の基礎科学特別研究員、2025 年 4 月より同研究所の研究員として結び目理論/低次元トポロジーの研究に従事しています。
Web ページ https://taketo-sano.me

担当講師所感
「トポロジー」は20世紀前半に確立された比較的新しい数学の分野で、ユークリッド幾何学の「堅さ」と比較して「やわらかい幾何学」とも呼ばれます。
トポロジーでは、連続的に変形しあえる図形は同じものと見なし、たとえば三角形も四角形も同じ「円」と見なされます。
この一見不思議に感じられる数学の世界に、紙粘土を使って閉曲面を工作することを通して触れてもらおうというのが、今回のワークショップの狙いでした。
生徒のみなさんと一緒に、正方形からトーラスを作ったり、八角形から種数2の閉曲面を作ったりしました。後半では、今回体験した「切り貼り工作」の考え方が「高次元の図形」を作るのにも活用できることや、その解決に100年を要した「ポアンカレ予想」についても紹介しました。
中学や高校で学ぶ幾何学とは大きく異なる「やわらかい幾何学」の世界に興味を持っていただく契機になれたのなら、本望です。
佐野 岳斗
“トポロジスト”の佐野さんにご登壇をいただきました。
個人的にも、以前から、是非お話を聞いてみたいと思っておりましたので、念願の回となりました。
数学の中で比較的新しいトポロジーという分野については、文字で書かれているものを読んでもなかなかイメージしにくいと思います。
“2次元の中の1次元の図形“などの言葉を読んでも、本当に正しく理解できたのかどうか確信を持てないまま読み進めることになります。
佐野さんのお話では、目に見える次元に都度戻ってくださり、繰り返し聞いているうちに、”4次元“”5次元“がまるで日常会話のように思えてくる不思議な時間でした。
生徒からは「この研究は社会においてどのような意味を持つのか」という定番の(笑)質問も出てきて、逆に充分伝わったと感じました。
宮原 聖子

※写真は、すべて高校、被撮影者の許可をいただいた上で掲載しております。
文責者:宮原 聖子
