2025年度の雪谷高校科学教室を3月27日に終え、その後参加したことのある生徒にアンケートを実施しましたので、その一部をご紹介するとともに、参加を大変楽しみにしてくださっていた卒業生と一緒に企画立案くださいました先生のインタビュー結果を掲載いたします。
大変ご好評をいただき、2026年度も継続することが決定いたしましたので、ご関係者の皆様、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
科学教室概要
- 趣 旨:体験を通して、科学への興味関心を育み、理系科目の面白さに気づく時間を提供する
- 開催頻度:約月1回
- 実施場所:校内の理科室や近隣の施設
- 講 師:JAAS会員や協力いただける大学の先生/各回異なる講師にて実施
- 内 容:講師の専門かそれに近いところの内容で、かつ高校生が手を動かして楽しめる内容
アンケート概要
- 実施期間:2026/4/6~2026/4/17
- 対 象 者:参加経験のある2年生と3年生(受講時は、1年生と2年生)
- 調査方法:Googleフォームによるオンライン調査
- 質 問 数:選択式17問、自由記述式4問
アンケート結果(抜粋)
公開可能な質問のみ、以下に掲載いたします。














◆ 一番印象に残っていることを書いてください
- 説明が詳しくてわかりやすかったこと
- 色々な人と関われたこと
- 泉先生の回しか参加できていないのですが、一つの学問を学ぶにもいろんな角度から見ることができて、数式を用いて現象を表すことができることに驚きました。
- 新宿御苑の福羽逸人
- 自分の血の中を調べて白血球だったりを観察できたのがとても楽しかった
◆ 科学教室に参加して、変わったこと・気づいたことがあれば書いてください
- 理科の面白さを再確認した
- 友達が増えました。
- 植物などを見るときの捉え方が変わった。
- 大学に対する意識
- これから学校で本格的に始まる探求のために沢山知識を身につけて良い研究にしたいなと思った
◆ 来年の科学教室でやってほしいことがあれば書いてください
- 講義っぽいもののなかに実験があるような教室があると嬉しいです。
- 実験、学校外での観察会
◆ その他、意見や感想があれば自由に書いてください
- とてもいい経験になりました。ありがとうございました。
- 今年度もよろしくお願いします!
- 今年度も参加したいです。
雪谷高校3年生A.K.さんインタビュー
インタビュアー:宮原
インタビュイー:雪谷高校3年生 A.K.さん

「専門じゃない分野も、つながっていると気づいた」
――この1年を振り返って、どんな経験になりましたか。
もともと自分は生き物など、生物系の分野が好きでした。
大波先生に誘っていただいて参加したのですが、今年度は物理や工学、情報系の講座が多かった印象があります。
自分の一番好きな分野ではなかったのですが、「こんなこともあるのか」という発見がありました。
特に印象に残っているのは、コンピューターで分子の動きをシミュレーションしている先生のお話です。
その先生は、もともとはパソコンを作りたいというところから始まったのに、今は生物分野のシミュレーションをしているという話をされていて、自分の専門ではない分野ともつながりがあるのだと気づかされました。
大学では専門を決めて学ぶことになりますが、あまり凝り固まらず、広い視野を持っていろいろなことを学ぶことが大事なのではないか、という考えに至りました。
「大学のミニ講義だと思っていたら、もっと開かれた場だった」
――参加前と実際に参加してみて、イメージの違いはありましたか。
大学の先生が来て講義をするということで、専門的で少し難しい、大学のミニ講義のようなものを想像していました。
でも実際はそうではなくて、高校生でなくても参加できるような、開かれた講座でした。
内容は専門的でも、すごく分かりやすく整理されていて、「思ったよりシンプルで分かりやすい」という印象でした。
「研究者の仕事の一つに、きっかけを与えることがある」
――研究や科学に対するイメージは変わりましたか。
研究そのもののイメージが大きく変わったというより、「研究者になったら、こういう活動をするのも楽しそうだな」と思いました。高校生にきっかけを与える機会を作ることも、研究者の大事な仕事の一つなのだと感じました。
大学は行こうと思えば行ける場所にあっても、高校生が自分から研究室に行ったり、先生に話を聞きに行ったりするのは、やはり少しハードルがあります。
学校に来てくださって、どんな研究をしているのかを見せてもらえる機会は、とてもありがたいものだと思いました。
「学校の勉強とは違う“新しい学び”」
――学校の授業と科学教室の違いは何だと思いますか。
受験生の立場から見ると、学校の授業はテストや受験のための知識、問題を解くための学びというイメージが強いです。一方で科学教室は、それとは少し違って、実際の研究や現象に触れる「新しい学び」だと思います。
学校の実験は思っていたより少なくて、もっとたくさん実験して、実際に反応を自分の目で確かめる機会があったらいいのに、と思っていました。科学教室は、大学で研究をする前の「入り口」のような体験ができる場だったと思います。
「予想と逆の結果が出た実験が忘れられない」
――印象に残っていることはありますか。
氷の溶け方の実験がとても印象に残っています。自分は実験前、「塩水の方が氷は早く溶ける」と思っていました。でも実際にやってみると、そうではなかった。やってみなければ、このまま一生知らなかったかもしれないと思うと、実際に試してみることの大切さを感じました。
普段の生活の中でも、「これってどうなんだろう」と思ったときに、実際にやってみることで新しい発見がある。その体験はとても大事だと思いました。
「科学が好きな人だけでなく、いろいろな人に来てほしい」
――実験、観察会、ディスカッションなど様々な形式がありましたが、どう感じましたか。
どれも楽しかったですが、実験はもっとたくさんやりたいと思いました。ディスカッションも、理系だけでなく文系の人など、いろいろな人が参加したらもっと面白くなると思います。科学が好きな人だけでなく、あまり興味がない人も参加すると、いろいろな意見が出て面白くなるのではないでしょうか。
観察会も、新宿御苑に行ったときはとても楽しかったです。実際にその場所に行って、自分の目で見ることで初めて分かることがたくさんあると感じました。
「科学教室の価値は、“きっかけ”に出会えること」
――この科学教室の価値や魅力はどこにあると思いますか。
自分で調べて大学の先生に連絡を取ったり、研究室を見せてもらったりすることも不可能ではないと思いますが、高校生がそれをやるのは大変です。学校に先生が来てくださって、研究の一端を見せてもらえる。そこに大きな価値があると思います。
単純に言うと、「手軽に、自分のやりたいことのきっかけを見つけられる場所」だと思います。将来につながるパーツのようなものを見つけられる、そういう場だったと思います。
「迷っているなら、参加した方がいい」
――後輩に勧めるとしたら、どんな言葉をかけますか。
そんなに堅苦しいものではない、ということを伝えたいです。
自分で大学の先生にアポイントを取って話を聞きに行くのは大変だけれど、この科学教室は紙を書いて出すだけで参加できる。
こんなに楽でありがたい機会はなかなかないと思います。
興味がなくても、参加してみたら「楽しかった」と思うはずです。
学校の勉強とは全然違う、ワークショップのような場なので、迷っているならぜひ参加してほしいです。
~インタビューを終えて~
1年間の参加を通してAさんが繰り返し話してくれたのは、「視野が広がった」「きっかけになった」という言葉でした。
科学教室は、知識を教わる場というよりも、将来につながる小さなきっかけや、新しい見方に出会う場なのかもしれません。
宮原
物理教員 大波健太先生からの感想
私は東京都立雪谷高等学校で理科の教員をしております大波健太と申します。
本校は110年以上の歴史がある伝統校で、文武両立をスローガンに日々の教育活動を行っております。生徒たちは部活と勉強、さらに行事の運営などで日々忙しい生活を送っております。勉強面では、9割近くの生徒が4年制大学への進学を希望、実際に進学している状況です。
最近は理系ブームで理系を選んだほうがいいという風潮がありますが、実際ふたを開けてみると理系よりも文系を選ぶ生徒のほうが多いというのが現状です。
どうにかして理系の生徒を増やせないかと考えたところ、理系に対して「難しい」、「入学後何をするのかわからない」というイメージを持っている生徒が多いことがわかりました。
卒業生の中にも入学してから想像していたことと違うという理由で辞めてしまった人もおり、どうにかこのイメージを払拭できないか考えたことが科学教室実施に至った経緯です。
科学教室実施にあたって講師は大学の方にお願いしようと思っていたのですが、私自身大学とのつながりがありませんでした。
そんな時PTAから宮原様を紹介していただき、そのおかげで毎回異なる分野かつ体験活動を取り入れた内容で開催することができました。開催前は一定数の生徒の参加が見込めるか不安なところもありましたが、様々な分野の講師をお呼びしていただき毎回10名ほどの生徒が参加してくれております。特定の分野に興味がある生徒も、まだ興味の方向性が定まっていない生徒も、楽しんで参加してくれている様子が目立つように思います。
講師の先生方も、科学教室のためにすごく準備をしてくださっているのが伝わってきます。
一見難しく見えるような内容でも、丁寧に説明していただいたり、実際に作業をして体験的な活動が絡んだりすることで、高校1・2年生でも無理なく理解することができています。
また、各講師の先生方が高校での学習内容との結びつきを意識してくれているおかげで、高校での学びの重要性を伝えることができていると思います。
学校の授業ではなかなかそれを伝えることが難しいので、大変ありがたい時間となっています。さらに、大学入学がゴールではないことを大学の先生方から伝えてもらう機会になっているのでそれも大変ありがたいと思っています。
今までの科学教室を通してこの内容は理系の生徒に限らず、文系の生徒や保護者にとっても大変意義のあるものだと感じました。
今後は規模を拡大し、科学教室を通して学校、保護者、外部機関が連携して、よりよい教育を行っていけると思っております。
文責:宮原聖子
