東京都立雪谷高校での科学教室第9回

雪谷高校での科学教室を3月27日に実施しましたので、ご報告いたします。

企画概要

・趣旨:体験を通して、科学への興味関心を育み、理系科目の面白さに気づく時間を提供する
・開催頻度:約月1回
・実施場所:校内の理科室や近隣の施設
・講師:JAAS会員や協力いただける大学の先生/各回異なる講師にて実施
・内容:講師の専門かそれに近いところの内容で、かつ高校生が手を動かして楽しめる内容

第9回

実施日時:2026年3月27日(土)13:00~15:00

<タイトル>
千葉大学訪問

<講師>
泉 賢太郎 氏
千葉大学 教育学部 准教授

◇略歴
古生物学者。博士(理学)。1987 年、東京都生まれ
2015 年、東京大学大学院理学系研究科
地球惑星科学専攻博士課程修了
専門は生痕化石に記録された古生態の研究など。
大学生時代には応援部に所属し、「チバニアン」研究チームでも活躍した。
研究モットーは「興味を持ったらとりあえずやってみよう、
オリジナリティを常に意識しよう」。著書に『化石のきほん』
(誠文堂新光社)、『ウンチ化石学入門』(集英社インターナショナル)、
『生痕化石からわかる古生物のリアルな生きざま』(ベレ出版)、
『古生物学者と 40 億年』(筑摩書房)、「大学 4 年間を「応援」に
捧げた私が古生物学者になった話」(理論社)などがある。
SNS で古生物学・地球生命科学の魅力を日々発信している。
https://twitter.com/seikonkaseki

担当講師所感

物理・化学・生物・地学という理科の4科目の中では、地学はもしかするとちょっと地味でとっつきにくいイメージかもしれません。また、地学で扱う自然現象はスケールが大きすぎるものや、あるいはあまり身近と感じられない対象を扱うこともあるかと思います。一方で、私たちは地球に生息する生き物であるので、地球上で起こる自然現象の中にはとても身近なものもあります。
今回の講座ではそのような身近な地学現象に注目し、数理的な観点から、現象に対する理解を深化させることを目指しました。世界一標高の高いエベレスト山を含むヒマラヤ山脈の話題からスタートし、一つ二つと疑問を投げかけていくことで、知識としては知っていても、なぜそのようになっているのかわからないor考えたこともなかった、というのを浮き彫りにしたうえで数理の観点から考えていく…というような講座を試みました。授業者視点からは時間配分など課題が残った部分もありましたが、参加してくれた生徒からいただいた質問をきっかけに、講座で紹介する内容の方向性を微修正するなど、まさに双方向のやり取りが為せる業だと感じました。
最後になりましたが、千葉大学までお越しくださり、今回の講座にご参加してくださった生徒の皆様、そして今回の講座の企画運営やサポートをしてくださった宮原様および雪谷高校の先生方に厚く御礼を申し上げます。

泉賢太郎


いよいよ、2025年度最後の科学教室となりました。
繰り返し参加している生徒たちは、毎回異なる内容、異なる先生に出会うことにもすっかり慣れた様子で、「わからないことを楽しむ」姿勢が身についてきたと感じます。
そして今回は、まさに大学生レベルの講義を体験しましたが、「わからない」と投げ出すことなく、一生懸命くらいつきながら楽しんでいました。
生徒たちがアンケートで選んだテーマは、「山脈の成長と寿命を考える(数学操作重視)」でした。泉氏の新著『数理の目で見る地球科学』(丸善出版)にも記載されている内容で、ヒマラヤ山脈の高さの変化を数理的に考えるという講義です。高校1年生も多く参加していましたので、すべてをスムーズに理解できた生徒がどのくらいいたかは分かりません。それでも、先生が「それを考えることがいかに面白く、意義深いか」を、講義を通して感じることができるのが、この科学教室の良いところだと思います。
直接会うからこそ、感じること、伝わることがあると、いつも思います。
また、高校数学で多く登場する代数については、高校生だけでなく大人でも、「いったいこれを何に使うのか」「人生の役に立つのか」と懐疑的に言うことがあります。これからは、「山脈の成長と寿命を考えるのに使えます!」と堂々と言えますね。
物理教員の大波先生、化学教員の木村先生が引率してくださり、千葉まで電車を乗り継いで集まり、学食も体験しながら、楽しく大学を体験する時間となりました。最後の回は雪谷高校から一番の遠出となりましたが、科学教室を通して、今一生懸命学んでいる教科書の中には、たくさんの英知と未来が詰まっているのだと体感してくれていたら嬉しく思います。
1年前、並々ならぬ教育への情熱をもってこの企画をご相談くださった大波先生、それに共感してサポートしてくださったPTAの皆様、都合のつく限り同行してくださった木村先生をはじめとする教員の皆様、毎回とても素直な感性で参加してくれた生徒の皆さん、そして何より、多忙な中、快くご協力くださった講師の皆様に支えられて、この企画は成り立ってきました。改めて、1年間この科学教室を完走することができましたことを、心より感謝申し上げます。

宮原聖子

左:研究室をご訪問する様子
右:教室で講義を始める様子

学食や校内の散策も楽しむ様子

文責者:宮原聖子
※写真は、被撮影者の許可をいただいた上で掲載しております。